舞踊小曲「さくらさくら」
「舞踊小曲 さくらさくら」の解説です。
桜の花びらが舞う中を、女の子が踊っています。
女の子が見ているのは、どんな桜でしょうか?どんな気持ちなんでしょうか?想像しながら塗ってみてね。
目次
・「さくらさくら」ぬりえの解説
・「さくらさくら」の曲の成り立ち
・日本人にとって「さくら」とは?
・さくらさくらに出てくるのって、何ていう種類のさくら?
舞踊小曲「さくらさくら」
みわたすかぎり さくらがさいています。ほら、ここまで かおりが ただよってくるみたい。さあ、いっしょに みにいきましょう。
There are cherry blossoms as far as you can see. Look, the smell of the flowers is drifting towards us. Let’s go take a look together.
たくさんの人に親しまれているこの曲は、元は筝(そう)の手習い曲だったようです。満開の桜を眺めてうっとりしたのは昔の人も同じです。
「さくらさくら」ぬりえの解説
イラストは、5歳くらいの女の子をイメージしています。さくらさくらは古典作品ではないため、お教室によってさまざまな振付をなさっていると思います。ぬりえでは、女の子に桜の枝を持たせてみました。
踊りのポイント
お袖に注目してください。「右腕」と「左手を持ち上げる高さ」と、「お袖の持ち方」に注目してください。
「右腕」ですが、手首から下はほとんど見えていませんね。着物から腕はなるべく出さない・見えないようにするのがキレイです。
次に「左手を持ち上げる高さ」を見てください。つまんだお袖を、みぞおちのあたりまで引き上げていますよね。少女はこのくらいの高さまで上げましょう。位置が低くなると、年齢が高い女性の表現になります。高く上げると、若々しさ、初々しさがでますよ。
「お袖の持ち方」は、イラストのように指先でつまんで、てのひらが見えないようにすると、かわいく見えますよ。
お着物のポイント
紅梅色~赤色のグラデーションの振袖のお着物です。
黒い帯の下に、玉子色のマフラーのような帯がありますね。これは「しごき(志古貴/扱き)帯」というものです。帯の下に巻いて、飾りの役割があります。
むかしは「裾引き(すそひき)」といって、おさむらいさんなどの家の中では、女の人は着物の裾を開いて、床につけた状態で生活していました(裾引きの着物ってどんなの?という方は『屋敷娘』をご覧ください)。
とうぜん、外出の時は邪魔になるので、裾をたくし上げて紐でくくっていました。これがしごき帯のルーツです。
ちなみに「抱え帯」という、同じように帯の下に巻く帯があります。役割は同じですが、採用される素材等に違いがあり、しごき帯の方が柔らかい布を使い、装飾的な印象、抱え帯は縮緬などの素材を使い引き締まった印象を与えます。
「さくらさくら」の曲の成り立ち
「さくら さくら やよいのそらは みわたすすかぎり・・・」
言葉を聞いただけで、メロディーが頭に浮かんできますよね。学校で必ず習う「さくらさくら」。「あかとんぼ」や「花」のように、明治大正期につくられた童謡、かと思いきや、もう少し時代をさかのぼって、江戸時代にできた曲です。
元々は、「筝(そう)」という、日本のお琴の練習曲だったようです。楽器の曲だったので、歌詞はありませんでしたが、次第に人気になって、明治時代に歌詞がつけられました。
日本人にとって「さくら」とは?
「さくら」は日本を代表する花です。みんな大好きですよね。「花といえばさくら」でも通じそうです。パッと咲いてパッと散る、そのはかなさは昔から文学や絵画にも多く登場します。ではいつから「花といえばさくら」となったのでしょうか。
正解は「平安時代」。このころ「さくら人気」が起こり、有名な「百人一首」には、「さくら」の歌が6つもあります。ちなみに、それまでは、花といえば「梅」のことでした。
「さくらさくら」に出てくるのって、何ていう種類の桜?
みなさんは、「さくらさくら」に出てくる桜は、なんの種類だと思いますか?
いま、「桜」といえば「ソメイヨシノ」です。聞いたことはありますか?川辺などに並んで植えられているのは、たいていソメイヨシノです。漢字では「染井吉野」と書きます。
江戸時代、東京の「染井村」というところで作られた品種で、奈良の吉野という桜の名所にちなんで「染井吉野」と名付けられました。これが作られたのが江戸時代の終わりごろです。
ということは、「さくらさくら」もできたのが江戸時代の終わりごろですから、まだソメイヨシノがそこらじゅうで満開、ということではなかったはずです。そう考えると、「さくらさくら」の桜は、ソメイヨシノではないかもしれません。
山桜、枝垂桜、八重桜などいろんな桜があります。「さくらさくら」を踊るときは、みなさんなりのイメージを持って、踊られると良いと思いますよ。
「さくらさくら」の歌詞
さくら さくら やよいの空は
見わたす限り かすみか雲か
匂いぞ出ずる
いざや いざや 見にゆかん
または、
さくら さくら 野山も里も
見わたす限り かすみか雲か
朝日ににおう
さくら さくら 花ざかり