端唄「祇園小唄」

日本舞踊のぬりえ「端唄 祇園小唄(ぎおんこうた)」の解説です。

祇園の四季の風景に、舞妓さんの恋心を巧みに織り交ぜて唄われます。

京都の舞妓さんは、この曲を踊らない日はない、というほどだそうです。「祇園恋しや だらりの帯よ」という旋律が印象的な上方端唄の名曲です。

着物の模様もたくさんありますし、豪華なかんざしもあります。上手に塗れる人は、ぜひ細かい塗り分けに挑戦してみてください。

目次

・「端唄 祇園小唄(ぎおんこうた))」ぬりえの解説

・「端唄 祇園小唄(ぎおんこうた)」ってどんなはなし?

・「舞妓さん」と「芸妓さん」ってなにが違うの?

はるのはな、なつのおくりび、あきのかぜ、ふゆのゆき。
ぎおんのしき、ぜんぶに おもいでがあります。
いつも、だいすきな あのひとのことを かんがえていたんですよ。

The cherry blossoms in spring, the okuribi* in summer, the wind in fall, and the snow in winter.
There are memories in all of the four seasons, in Gion.
I was always thinking of the person I love.

*Okuribi is a ceremonial mountain bonfire. Gion town has its own tradition to make a bonfire in the shape of the kanji “大” (Dai – big).

京都の舞妓さんはこの曲を踊らない日はない、というほどだそうです。祇園の四季の情景にのせて、舞妓さんの恋の物語がしっとりと語られる名曲です。

音楽について

端唄って?・・・江戸時代に生まれた三味線音楽の一種で、長唄や清元、常磐津などと比べると曲が短く、庶民の間で気軽に愛された流行歌です。料亭やお座敷で演奏されたりしました。

「端唄 祇園小唄(ぎおんこうた)」ぬりえの解説

祇園には「五花街(ごかがい)」といいまして、祇園甲部、宮川町、先斗町(ぽんとちょう)、上七軒、祇園東の5つの花街があります。それぞれ祇園小唄の振付も違うのですが、ここでは皆さんにも比較的なじみの深そうなポージングを採用しました。

日本舞踊は一人で踊る踊りが多く、祇園小唄は数少ない、二人で踊る演目です(ひとりバージョンもあります)。

二人で踊る踊りは特に、息を合わせると言いますが、相手の踊りに合わせて、自分の呼吸や、身体の使い方も変わってきます。難しいですが、一人で踊るのとは違った、やりがいがありますよ。

お着物などのポイント

だらりの帯

祇園小唄といえば「だらりの帯」

ぬりえでは身体に隠れて、やや見にくいかもしれませんが、帯の後ろが長くて、だらりと垂れ下っていますね。これは江戸時代に歌舞伎の衣裳から、一般に流行したもので、いまでは京都の舞妓さんの着付に残っており、舞妓さんの象徴とも言えます。

「肩上げ」と「袖上げ」

そして舞妓さんの着物のもう一つの特徴は「肩上げ」「袖上げ」です。着物を見ると、肩と振袖に線が入っていますよね。これは、身体が小さいので、ここで着物の生地を折って縫い付け、調整しているからです。

舞妓さんは昔は10歳くらいでなるのが普通でした(いまは中学卒業以上が必須条件)。身体も小さいので、普通の振袖ではサイズが合いません。そこで、「肩上げ」「袖上げ」といって、着物の余った布を縫い上げてサイズを調整しているんです。

赤の襟

舞妓さんは「赤い襟」も目印です。

芸事の修行中である舞妓さんが、一人前と認められて「芸妓(げいこ、げいぎ)」さん」になると、だらりの帯は袋帯になり、肩上げ・袖上げもなくなり、襟は白色になります。

ぽっちり

帯留めに花の飾りがついているのに気付きましたか。これは「ぽっちり」といいます。重い帯を支える帯締めも、通常のものより太く、帯どめも大きいものが好まれるそうです。

「ぽっちり」は舞妓さんが所属する「置き屋(お店)」に代々受け継がれるもので、「転んで顔を打ってもぽっちりを守れ」といわれるほど、貴重なものだそうです。

口紅

カラー見本では、普通に口紅を塗っています(紅を差す、といいます)が、1年目の舞妓さんは下唇だけに口紅を塗ります。これは幼さ(おぼこさ)の演出だそうです。

舞妓さんは歩く伝統工芸!

他にもかんざしやぽっくり(おこぼ)下駄など様々な装飾品を身に着ける舞妓さんは、「歩く伝統工芸」です。京都に行く機会があれば、ぜひ一度、本物の舞妓さんを見てみたいですね。

端唄 祇園小唄(ぎおんこうた)ってどんなはなし?

1番から4番までの歌詞で、京都・祇園の四季を描いています。たんに四季の風景を描くだけではなく、そこには舞妓さんの恋の物語が重ねられています。

「桜」「夕涼み」「秋風」など季節の情景の中に、

・しのぶ思い
・かくす涙の
・燃えて身を焼く
・泣くよ今宵も夜もすがら

など、舞妓さんの「忍ぶ恋」の片鱗が見え隠れしています。ではこの恋の最後は・・・?最後の冬の歌詞を見てください。

雪はしとしと丸窓に
つもる逢瀬(おうせ)の差し向い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥

「もやい枕」とは一つの枕で寝ること。つまり恋が実って、二人が結ばれ、夫婦となれたことを表します。よかったですね。

端唄 祇園小唄(ぎおんこうた)の歌詞

月はおぼろに東山

霞む夜毎のかがり火に

夢もいざよう紅桜

しのぶ思いを振袖に

祇園恋しや だらりの帯よ

 

夏は河原の夕涼み

白い襟足ぼんぼりに

かくす涙の口紅も

燃えて身を焼く大文字

祇園恋しや だらりの帯よ

 

鴨の河原の水やせて

咽(むせ)ぶ瀬音に鐘の声

枯れた柳に秋風が

泣くよ今宵も夜もすがら

祇園恋しや だらりの帯よ

 

雪はしとしと丸窓に

つもる逢瀬(おうせ)の差し向い

灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて

もやい枕に川千鳥

祇園恋しや だらりの帯よ

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